天使の分け前
先日、親戚から大変興味深いお話を聞いたので、ご紹介します。
大人の嗜み、「ウィスキー」についてのお話です。
ウィスキーの製法は一般的に、
原料となる穀物を発酵させて出来たアルコール7~8%の液体を蒸留し、その液体を数年〜数十年間樽に入れ熟成させて作ります。
よく「山崎12年」、とか「響17年」、とかありますが、この◯◯年というのは樽に閉じ込められていた期間を示します。
この熟成期間中のウィスキーの寝床となる「樽」。
木製であるため、揮発した水やアルコールがすこーしずつ出て行ってしまいます。
結果、ウィスキーは樽の中で徐々に減っていきます。
どのくらい減るかというと、年間2%。
これだけ聞くと大したことありませんが、通常10年近くは樽熟成されるウィスキーですから、いざ樽を開けた時には元の8割くらいに減ってしまっているそうです。
ただ、じゃあその減った分は無駄になってしまったのか、というとそうではありません、
気化によってウィスキーが減ると、当然樽の中には「隙間」が生まれます。そうして出来た隙間、そこにその蒸留所の空気が入り込むことによって、そのウィスキーに独特の個性が生まれるらしいのです。
海に近い蒸留所であれば、ほのかに潮の香りがしたり。
森に囲まれた蒸留所であれば森林の爽やかな香りがしたり。
このように、ウィスキーが揮発し減少することによって、ウィスキーはさらに独特の深みを増していきます。
そしてこの現象のことを昔の人たちは、
「天使の分け前」や「天使の取り分」と表現しました。
天使達が分け前をもっていって、その代わりにウィスキーを美味しくしてくれる。
そのおかげで自分たちはこんなにも旨いウィスキーを楽しむことができる。
減ってしまうお酒のことをそんな風に表現する。
とてもユーモアがあって、作り手たちの仕事にかける情熱が表れていますよね。
僕はこの話を聞いて、
「へぇ〜!
とってもヤれそうな話だなぁ!」
しみじみと、そう思いました。
ね、みなさんもそう思いませんか。